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ケーススタディ

認知症になっても、希望に沿って生活費を使いたい

~将来のご自身への約束~

ケース

Aさん(相談者・80歳)は、3年前に亡くなった夫から自宅の土地・建物(合計約1億円)を相続しました。お子さんは長男のBさんと長女のCさんの二人です。
最近物忘れが多くなり、認知症の検査をしましたが、判断能力にはまったく問題がなく、心配はないとのことでした。
とはいっても、夫は亡くなる前の約二年間で認知症が進行し、最後はAさんのことさえ誰だか分からなくなってしまった姿を見てきました。
今は長男Bさんの妻がAさんの身の回りの世話をしてくれていますが、自分の将来のことが不安でなりません。

認知症などによる判断能力低下の場合、本人に代わって財産管理を行うのが成年後見制度です。成年後見人は裁判所により選任され、裁判所の監督を受けながら適正な財産管理を行うので、本人と家族に一定の安心をもたらします。
しかし、成年後見人は、財産管理を適正に行うことが目的であって、必ずしもご本人の希望やニーズを実現してくれるわけではありません。

Aさんは、将来認知症になった時に「将来は、介護の手厚い施設に入って生活がしたい。でも、その施設にかかる費用の分だけの預貯金はない。施設に入れば今一人で暮らしているこの家は要らなくなるのだから、そのときは、子どもに自宅を売ってもらってそのお金を施設費用にあてよう。」
そのことを長男のBさんと長女のCさんにも話し、賛同を得られました。

3年後、心配していた認知症が発症。後見人が選任されました。
長男のBさんから後見人に、介護の手厚い施設への入居と費用の為の自宅の売却のAさんの希望を伝えた所、予想に反し、長女のCさんが自宅の売却に反対しているとのことでした。
BさんからCさんに聞くと、夫に相談していて自身はよく分からない、ということしか言いません。
たしかに、長女のCさんは結婚以来、何事も夫の意向に沿っていました。Cさんの夫は法律にも詳しく、今回のことにも口を出しているに違いありません。
Aさんが認知症になる前には、自宅の売却に理解を示していたはずの長女Cさんですが、自宅を売却して施設に高い費用を支払うと、Aさんの遺産に対するⅭさんの相続分が減ることになり、反対しているのではないか・・・。長男のBさんの悩みは大きいものとなりました。
しまいには、Cさんは、Aさんが施設に入ったり、自宅を売却したいという希望は聞いたことがないと言い出す始末。
結局、Aさんは、毎月の年金の範囲内で入居できる施設での生活を送ることとなりました。

他方で、後見人には、本人の財産の中から月額の報酬が支払われます。その報酬分を施設費用に回せられなかったのか・・・。長男のBさんには納得できない気持ちだけが残りました。
なお、後見人は、本人の財産管理だけが仕事であり、施設を尋ね本人の身の回りの世話をすることはありません。

このようなことが起こらないようにする方法として、家族信託が有用です。

ポイント

家族信託を用いて、ご自身の判断能力が低下した場合でも財産を希望に沿って生活に使えるように約束をしておけば安心です。

家族信託の内容

まずは、信託契約の目的を定めます。老後の生活を快適な施設で過ごしたいと考えているAさんの場合は、「Aさんが、施設に入居し老後の生活を充実したものとするために、自宅土地建物の処分その他必要な事項を定めること。」というようにします。
契約の目的を定めることで、財産管理を任される家族(受託者)の行動指針となります。

自宅の土地建物を所有するAさんは、信託契約による利益を享受する者(「受益者」)となり、子である長男のBさんは、Aさんのために財産管理を行う者(財産管理を託されるという意味で、「受託者」といいます。)になることを契約で定めます。
このように契約を結んでおけば、Aさんの判断能力が低下し、認知症になった場合でも、後見人を選任する必要はありません。
契約で定めたAさんの希望を叶えるために、Bさんが財産を処分し、Aさんが入居を希望していた施設の費用を支出することが出来るのです。
後見人が選任されると、財産管理の報酬を支払う必要がありますが、Aさんとしては、お子さんであるBさんに財産を管理してもらうための報酬を支払う方が納得のいくことでしょう。報酬の内容もAさん、Bさん、Ⅽさんの事前の話し合いで決めておくとよいでしょう。

家族信託は、契約、すなわち守られなければならない約束ですから、Aさんが認知症になった時に、Cさんやその他の方が不動産売却を反対しても影響はありません。
他方で、不動産売却後、Aさんが死亡した場合には、信託契約は終了することとし、預金となっている財産を長男のBさんと長女のCさんが平等に分割することとしておけば、将来の紛争も未然に防げます。

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