家族信託とは、親族その他の信頼できる人に、財産の管理・処分等を任せる契約制度をいいます。

近年、急速に家族信託が普及していますが、その理由は、成年後見、遺言及び相続の制度との比較において大きなメリットがあるとされているからです。

成年後見制度は、裁判所から選任された後見人が被後見人の財産の管理を行う制度です。これまでに会ったこともない第三者が選任される場合もあり、ご本人の希望に関係なく、決められたルールに従って財産管理を行うため、ご家族との関係も距離を置いたものとなります。
これに対して、家族信託を利用すれば、信頼できる人に財産管理を託し、かつ、ご本人の希望に沿った財産の使い道を実現することができます。

また、遺言や相続は、ご本人が死亡したときに限定して、財産をどう分けるか、ということしか決められないことになっています。一代限りの効力しかありません。
他方で、家族信託を利用すれば、ご本人生活のためや、お子様のみならずお孫様の世代にわたり、財産をどのように活用するかを設計できることになります。

このように、家族信託は、成年後見制度や遺言・相続の制度では実現できなかったご本人とご家族の希望とニーズに沿った財産の運用・承継設計を可能とする制度です。