首都圏ネットワークグループ家族信託のカインドリー

電話でのお問い合わせ 0120-099-127

受付 平日9:00 〜 20:00

ケーススタディ

不動産が共有になり、資産として価値がなくならないようにしておきたい

~不動産の管理・運用を決めておく~

ケース

Aさん(80歳)の家族には、長男のBさん(45歳)と長女のCさん(35歳)がいます。
Aさんも80歳の節目を迎え、遺言を残そうと考え始めました。

財産としては、東京都内にある土地建物(土地は60坪で、更地としての評価額1億2000万円)があります。預貯金や株式その他の財産はありません。
Aさんが唯一残せる土地は、Aさんの実家の居宅敷地でした。Aさんも現在は施設に入居しており、BさんもCさんもそれぞれ地方で所帯を築いていますので、空き家になっています。
それでも、相続の時に土地建物を売却して代金を分けるというのではなく、末永く賃料収入を得続けてもらいたいと希望しています。建物は老朽化しているので、解体の上、定期借地等で賃貸してもらいたいと考えています。

長男のBさんに相談したところ、Aさんの実家があった土地を手放したくないという希望に賛同してくれました。長女のCさんと二分の一ずつの権利を共有し、賃貸していこうと話し合いました。

ところが、同じ話をAさんから相談されたCさんからは、家族とは今後深くかかわりたくないので、遺産があればすべて現金化して分け合って終わりにしたい、と言われてしまいました。

このようなケースで、Aさんが遺言を残して、不動産はBさんとCさんの二分の一ずつの共有として賃料を分けてもらいたいとすることには大きなリスクが伴います。

Aさんの遺言にしたがって、長男のBさんと長女のCさんが不動産を共有することとなった場合でも、CさんはBさんに対して、いつでも共有関係を解消することを請求出来てしまいます。
法律の建前は、財産の共有は本来好ましいものではなく、なるべく解消すべきだという考えであり、①財産を物理的に分ける、②共有者の一部が財産を取得し、その代わりの代金を支払う、③財産を売却し代金を分ける、のいずれかの解決を余儀なくされてしまいます。
②の方法であれば、財産を残すことが出来ますが、本件のように価格が大きい財産に対する共有持分の代金も価格が大きく、支払が出来なければ、採用することはできません。

このように、法律のルールによれば、共有を継続して賃料を得続けてもらいたいというAさんの希望よりも、共有関係を解消し、早く精算してしまいたいという長女のCさんが希望を優先される結果となってしまうのです。

このようなケースで、Aさんの希望を実現する方法として、家族信託が有用です。

ポイント

遺言で共有関係となっても、共有者の一人から分割請求がされれば、共有関係は解消されてしまう。
家族信託を用いれば、財産の管理運用を遺言者の理解者に任せた上で、財産が細分化されたり処分されたりすることを防ぎ、財産を資産として残すことができる。

家族信託の内容

1億円を超える更地を所有するAさんは、建物を建築する第三者に土地を賃貸し、賃料収入を得たいと考えています。
もっとも、高齢となり将来は判断能力が低下したときに、一人で賃貸の管理を行う自信はありません。
そこで、頼りになる長男のBさんに土地の賃貸管理を任せる家族信託契約を締結します。

土地を所有するAさんが委託者となり、Bさんを受託者として、土地の賃貸借契約の締結とその後の物件及び賃貸管理を任せることとします。
まずは、Aさんを受益者として、賃料収入は、Aさんの生存中はご自身の生活費に充てる約束とします。
その後、Aさんの相続があれば、賃料収入を得るための受益権は、長男のBさんと長女のCさんが公平に取得する約束をします。

ケーススタディ

家族信託FAQ